医療AIとは?適用範囲・メリット・注目企業・成功事例まで徹底解説【2025年最新版】
AIは医療の現場において活躍の裾野を広げています。
「医療AIって本当に使えるの?」といった疑問や関心をお持ちの方も多いと思います。
この記事では医療AIの活用事例、導入のメリット、実際に活用している企業などを詳しくご紹介します。
是非最後までご覧ください。
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AI導入.comを提供する株式会社FirstShift 代表取締役。トロント大学コンピューターサイエンス学科卒業。株式会社ANIFTYを創業後、世界初のブロックチェーンサービスを開発し、東証プライム上場企業に売却。その後、マッキンゼー・アンド・カンパニーにコンサルタントとして入社。マッキンゼー日本オフィス初の生成AIプロジェクトに従事後、株式会社FirstShiftを創業。
医療AIとは
医療AIとは、人工知能(AI)技術を活用して医療に関連する業務や判断を支援するシステムやソリューションのことを指します。
近年では、精度の向上や計算処理の高速化により、医師の判断補助ツールとしての役割は明確かつ向上は目覚ましいです。
医療分野におけるAIの適用範囲
医療AIの代表的な適用範囲を網羅的に取り上げ、具体的な活用方法や効果を解説します。
画像診断
画像診断は、医療AIの代表的な活用分野の一つです。
X線やCT、MRIなどの医療画像をAIが解析し、がんや脳疾患などの兆候を高精度で検出します。特に、医師が見逃しやすい微細な病変の早期発見ができるなど信頼性が高まっています。
カルテ解析
カルテ解析では、電子カルテに記録された膨大な患者情報をAIが処理・分析します。これにより、疾患の傾向や治療効果の予測などが可能です。
データ処理のみならず自然言語処理(NLP)技術の発展により、記録の自動分類や要約も実現しつつあります。
遠隔医療
遠隔医療においては、AIが医師の代わりに初期問診を行ったり、診療科の案内、オンライン診療の質と効率を向上させています。
医師不足の背景に過疎地や人手不足の地域でも、一定水準の医療アクセスを確保する手段として注目されています。
手術支援
AIによる手術支援は、主にロボット支援手術の精度向上に活用されています。主な内容は手術中の映像や動作データをリアルタイムで解析、医師の判断をサポートなどです。
手術ナビゲーションやリスク回避の提案も可能となり、安全性と成功率の向上に寄与しています。
死後医療
死後医療の分野でAIが解剖画像やカルテ情報を分析することも実現しています。解剖医の判断を支援し、死因を迅速かつ正確に特定する試みが進行中です。
また、解剖の省力化や医師不足の地域での活用も視野に入れられていて、国立の研究機関や一部の大学病院で導入が進んでいます。
ビッグデータ連携
医療ビッグデータとAIの連携は、疾病予測や治療法の開発において重要な役割です。
全国の医療機関からの膨大なデータをAIが解析することで、特定疾患の発症リスクや有効な治療法の提案ができます。公共機関などの連携も進み、社会全体でのヘルスケア向上に寄与しています。
医療AIのメリット5つ
医療AIの導入により、医療現場には多くの利点がもたらされています。
ここでは、医療AIが持つ5つの主要なメリットについて詳しく紹介します。
診断精度の向上
AIは大量の医療データを学習することで、医師が見逃す可能性がある微細な兆候も検出可能です。
特に画像診断分野では、がんや脳疾患などの早期発見に寄与しています。医師のセカンドオピニオンとして活用することで、より正確で信頼性の高い診療が実現します。
医療業務の効率化
AIは問診、カルテ入力、画像解析、診療報告書の作成など、医療業務の多くを自動化・支援することができます。
これにより医師や看護師の負担が軽減され、患者対応により多くの時間を割けるようになります。また、医療機関全体のコスト削減にもなるのがメリットです。
ヒューマンエラーの防止
AIは一定のアルゴリズムに基づいて判断するため、感情や疲労に左右されることがありません。
医師による見落としやミスが起こりうる場面でも、AIが補完的にチェックすることで、ヒューマンエラーのリスクを軽減できます。特に夜勤や忙しい救急現場では、AIの補助が大きな助けになります。
24時間対応体制の構築
AIは人間と異なり、24時間稼働可能です。オンライン問診システムやチャットボットを活用することで、時間帯を問わず初期対応が可能になり、早期受診のきっかけ作りに貢献します。
夜間のトリアージや、休日の問い合わせ対応などでも効果を発揮しています。
地域格差の解消
医療資源の乏しい地域でも、AIを活用することで質の高い医療サービスを提供することが可能になります。
たとえば、遠隔診療にAIを組み合わせることで、専門医が常駐していないエリアでも医療難民になる恐れがありません。これにより都市部と地方との医療格差を縮める取り組みが進んでいます。
医療AIのデメリット
医療AIには多くの利点がある一方で、運用にはいくつかの課題も存在します。
ここでは、医療AIの代表的なデメリットを3つの観点から解説します。
データの依存性とバイアスのリスク
医療AIは、学習に用いるデータの質と量に大きく依存しています。そのため懸念される点は、データに偏りがあるとAIの判断も偏る「バイアス」のリスクです。
例えば特定の年齢層や人種に偏ったデータでは、他の層への診断精度が落ちる可能性があります。これにより医療の公平性が損なわれる恐れがあります。
プライバシーとセキュリティのリスク
医療AIの活用は、患者の個人情報や医療履歴など非常に機微なデータの取り扱いを伴います。
そのため、情報漏洩や不正アクセスなどのセキュリティリスクへの備えが不可欠です。また、データの匿名化や適切な管理体制が整っていない場合、プライバシー侵害につながる危険性もあります。
高い導入・維持コスト
医療AIの導入には、システム構築や人材育成などに多額の初期投資が必要です。
さらに、運用後もメンテナンスやアップデート、データ管理など継続的な費用がかかります。特に中小規模の医療機関では、コスト面が導入のハードルとなるケースが少なくありません。
医療AI分野で注目される企業
医療AIに関して国内外でさまざまな企業が革新的な技術やサービスを展開しています。
医療AI分野で注目される6社をピックアップし、その特徴や取り組み内容をご紹介します。
ソフトバンクグループ
ソフトバンクグループは、医療AIベンチャーへの積極的な投資を通じて、医療分野への影響力を拡大しています。
グループ傘下のVision Fundを通じて、国内外での医療AIの普及に貢献しています。また、5GやIoTと連携したスマート医療の推進にも力を入れています。
富士フイルムホールディングス
富士フイルムは、医療画像分野におけるAI活用で国内トップクラスの技術力を持つ企業です。
特にX線やCT、内視鏡画像の診断支援AIを開発し、医師の負担軽減に貢献しています。また、グローバルに医療機器・システムを展開しており、AI技術の国際展開にも積極的です。
富士通
富士通は、電子カルテや医療データ分析システムなどを通じて医療現場のDX(デジタルトランスフォーメーション)を推進しています。
AIによる病名予測や診療内容の要約支援など、医療業務の効率化を支援する技術開発に注力しています。医療現場との共同研究も進めています。
AIメディカルサービス
AIメディカルサービスは、日本発のスタートアップで、内視鏡画像の解析に特化したAI技術を開発しています。
消化器系疾患の早期発見を支援するAIは精度の高い診断支援ツールとして高く評価されています。2024年にはシリーズCの資金調達も成功し、グローバル展開を加速中です。
Qure.ai
インド発のQure.aiは、放射線画像をAIで解析するソリューションを提供しているグローバル企業です。
X線やCT画像から脳卒中や肺炎などを自動で検出し、迅速な診断を支援します。新興国を中心に導入が進んでおり、医師不足などの課題の解決に貢献しています。
Medtronic
Medtronicは世界最大級の医療機器メーカーであり、AIと組み合わせた手術支援やモニタリング技術の開発に注力しています。
現在では糖尿病管理や心臓関連のデバイスにAIを活用することで、最適化治療の実現が目標です。AIスタートアップとの提携も活発に行っており、技術革新をリードしています。
医療×AIの成功事例3選|画像診断・カルテ生成・がん検出の最前線
医療現場では、AIの活用によって診断精度や業務効率の向上といった成果が次々と現れています。
ここでは、診断補助・事務作業の自動化・画像診断の高精度化といった3つの観点から、実際に医療機関で導入され、成果を上げたAI活用事例を紹介します。
AIによる内視鏡画像診断で、胃がんの早期発見率が向上
まず注目すべきは、内視鏡による胃がんの早期発見にAIを活用した取り組みです。
従来の内視鏡検査では、病変の発見精度が医師の経験や集中力に左右され、微細な異常を見逃すリスクが指摘されていました。
この課題に対して、富士フイルムと国立がん研究センターは、全国100以上の医療機関と連携し、20万件以上の内視鏡画像をAIに学習させた診断支援システムを開発しました。
AIは画像から異常をリアルタイムで高精度に検出し、医師の判断を補助。
その結果、早期胃がんの発見率が向上し、患者の生存率にも寄与しました。世界初の関連研究も発表され、医療AIの代表的な成功例として国際的にも注目されています。
退院サマリー作成をAIが自動化、事務負担とコストを大幅削減
次に紹介するのは、退院サマリーの自動作成による医師の業務負担軽減です。
医療現場では、診療以外の事務作業が医師にとって大きな負担となっており、特に退院時のサマリー作成には時間がかかるという課題がありました。
この問題を解決するため、順天堂大学とFIXERは、生成AI「GaiXer」を活用し、電子カルテから必要情報を抽出してサマリーを自動作成するシステムを構築。
同様の仕組みは那須赤十字病院にも導入され、サマリー作成の所要時間が「数日から数分」に大幅短縮されました。
同院では年間で3186時間超・約2000万円相当の工数が削減され、医師の92%が「業務効率化を実感」と回答するなど、大きな成果を上げています。
乳がん転移の画像診断で、AIが専門医を超える精度を実現
最後は、乳がんの転移診断におけるAIの精度向上に関する事例です。
病理画像の診断は医師不足に加え、膨大な画像を短時間で正確に読む必要があるため、高度なスキルと労力が求められます。
2016年の国際コンテスト「CAMELYON16」では、AIが乳がん転移の有無を判断する課題に挑戦し、11人の病理医の平均精度(AUC 0.810)を大きく上回るAUC 0.994を達成しました。
この結果により、AIによる病理診断の有効性が実証され、医師の負担軽減と診断の信頼性向上という両面での効果が明らかとなりました。
AIを活用できる業務や導入費用の目安・導入までの手順については以下の記事をご覧ください。
まとめ
医療AIは、診断支援から業務効率化、創薬支援まで、幅広い分野で導入が進んでいます。
AIによる医療支援はあくまで医者や既存設備の延長でありますが、これからの発展からは目が離せません。
国民全体の健康的な生活に欠かせない医療に一層AIを役立てる必要があります。