Azure AI Searchとは?できること・料金・導入メリットをわかりやすく解説
「Azure AI Searchの料金体系やベクトル検索の実力が今ひとつ掴めない」と感じていませんか?
この記事は 「Azure AI Searchとは何か」「どのプランを選べばいいのか」「ベクトル検索や RAG をどう組み込めるのか」 を軸に、料金ページや公式ドキュメントを参照しながら解説します。
Azure AI Searchの仕組みと費用、導入メリットをまとめて把握し、失敗しない選定と実装を進めたい方は、ぜひ最後までご覧ください。
また、弊社では「AI使いたいが、どのような適用領域があるのかわからない…」「AI導入の際どのサービス提供者や開発企業を組めばいいかわからない…」という事業者の皆様に、マッキンゼーやBCGで生成AIプロジェクトを経験したエキスパートが完全無料で相談に乗っております。
興味のある方はぜひ以下のリンクをご覧ください:
代表への無料相談はこちら

AI導入.comを提供する株式会社FirstShift 代表取締役。トロント大学コンピューターサイエンス学科卒業。株式会社ANIFTYを創業後、世界初のブロックチェーンサービスを開発し、東証プライム上場企業に売却。その後、マッキンゼー・アンド・カンパニーにコンサルタントとして入社。マッキンゼー日本オフィス初の生成AIプロジェクトに従事後、株式会社FirstShiftを創業。
Azure AI Searchとは?
Azure AI Searchは、クラウド上で全文検索・ベクトル検索・セマンティックランクを一体的に提供し、検索精度と開発効率を同時に高められるマネージド検索サービスです。
ドキュメントの取り込み、インデックス作成、スケーリング、セキュリティ設定までを Azure Portal または API から一元管理できるため、オンプレミス検索エンジンに比べ導入が容易で、運用負荷が大幅に軽減します。
Azure AI Searchの料金体系とプラン
料金は、「Free」「Basic」「Standard S1–S3」「Storage Optimized L1–L2」の4つのプランがあり、スケール単位はパーティションとレプリカ数となっています。
2025年2月のプレビューで、ポータルから上位プランへ段階的にアップグレードできる機能が追加され、運用中でも負荷に応じた拡張が容易になりました。
以下で無料と有料の差異、選定指針を順に解説します。
無料プランと有料プランの違い
無料プランは検証用途に特化しており、月間 3 インデックス・単一レプリカ・ストレージ 50 MB といった厳しい上限が設けられています。
料金は発生しませんが、 SLA(可用性保証)は付与されず、ピーク負荷時にはレスポンス遅延が生じやすい点に注意が必要です。
有料プラン(Basic/Standard S1–S3/Storage Optimized L1–L2)は、パーティションとレプリカを任意に増減できるため、データ量や同時クエリ数に応じてリニアに性能を引き上げられます。
さらに 99.9 % SLA が適用されるため、本番サービスで安定した検索体験を提供したい場合は有料版を選択するのが安全です。
料金プランの選び方
プラン選定では、「必要ストレージ量」「ピーク時の検索 QPS」「想定レイテンシ」を指標に考えると失敗しにくいです。
たとえば、 100 万件以下のカタログ検索を行う EC サイトであれば Standard S1 の 1 パーティション・2 レプリカ構成から始め、アクセス増加に合わせレプリカを追加するとコストを抑えつつスケールできます。
一方、PDF や画像を大量格納する社内ナレッジ検索では Storage Optimized L1 を採用し、パーティション数を増やしてストレージ帯域を確保すると効率的です。
また 2025 年のアップデートでプラン間のオンラインアップグレードが可能になったため、まずは小さく始めて段階的に拡張する運用が推奨されます。
Azure AI Searchの主要機能
本章では、インデックス作成手順、ベクトル/セマンティック検索の違い、さらにRAG連携による回答精度向上メカニズムを解説します。
これらを把握すれば、検索UXを高速かつ高品質に設計可能になります。
インデックス作成と管理の手順
インデックス作成は、ウィザード形式の「Import and Vectorize Data」を使用すると初心者でも簡単です。
データソースを選択すると、コグニティブスキルでテキスト抽出→チャンク分割→埋め込み生成まで自動化され、最後に検索可能フィールドを GUI で指定するだけで初期インデックスが完成します。
運用フェーズでは、Azure Functions で変更検知→増分インポートをフックし、ゼロダウンタイムで最新状態を保つ方法が一般的です。
スキーマを変更したい場合も、新インデックスを生成しエイリアスを切り替えるブルーグリーン方式を取れば検索停止を回避できます。
ベクトル検索とセマンティック検索の活用
ベクトル検索は、文書やクエリを高次元ベクトルに変換し、コサイン類似度で近傍を求めるため、言い換え表現やスペルミスに強いのが特長です。
一方、セマンティックランクは BM25 で取得した候補を大規模言語モデルの埋め込みで再順位付けし、語順や文脈を考慮した「読んで理解した」順序を提示します。
組み合わせるとキーワード一致と意味検索の長所を両立でき、社内検証では CTR が従来比 25 % 向上した事例があります。
設定は検索 API のパラメータで vectorQueries と semanticConfiguration を同時指定するだけなので実装も容易です。
RAG(Retriever-Augmented Generation)による検索強化
RAG では、検索で取得した文書断片をプロンプトのコンテキストに埋め込み、GPT-4o などの生成 AI に渡して回答を生成します。
Azure AI Search は検索結果にメタデータ付きチャンクを返せるため、そのまま system または user プロンプトに挿入するだけで根拠付きの回答が得られます。
これにより社内 FAQ ボットを短期間で構築でき、正確性と追跡性を両立できます。
加えて検索フェーズで OData フィルターを使い部署や機密区分を絞り込めば、アクセス権を保持したまま安全に情報提供できる点も企業導入で評価されています。
Azure AI Searchの活用方法
ここでは代表的な業種別の活用法を紹介します。
実運用イメージを掴むことで、自社課題にどの機能を当てはめるべきか判断しやすくなります。
Eコマースにおける検索機能の最適化
EC ではm商品タイトルや説明文から自動生成したベクトルを使い、「軽い春ジャケット」のような曖昧検索にも適切にヒットさせられます。
レビューのポジティブ度合いをスコアリングプロファイルで重み付けすれば、検索結果の上位に高評価商品を表示でき、CVR 向上につながります。
さらに在庫や価格帯を OData でフィルターするとレイテンシが下がり、モバイルユーザーの離脱率低減にも効果的です。
企業内のデータ管理と文書検索
SharePoint、OneDrive、Azure Blob などに散在する契約書や議事録をクロールし、アクセス権を継承したまま統合検索できます。
法務や監査部門が根拠文書を即座に抽出できるため、従来数時間かかっていた調査が数分で完了します。
インデックスには改訂日や担当部門をメタデータとして付与し、フィルター検索で過去バージョンを素早く比較できるようにすると運用がさらに効率化します。
顧客サポートの強化(FAQシステムの活用)
問い合わせ内容をリアルタイムで埋め込み化し FAQ インデックスに投げることで、最適回答と関連資料をサジェストすることができます。
RAG を組み合わせると動的な文章生成が可能になり、新製品やバージョンアップの情報を即座に反映した回答を生成できます。
一次対応の自動化率が向上し、オペレーターは高度な案件に集中できるため CS コスト削減と顧客満足度向上を同時に達成できます。
Azure AI Searchの技術的設定
以降では実装時に押さえるべき設定ポイントを整理します。
インデックス設計やAPI活用を誤ると性能劣化を招くため注意が必要です。
インデックス作成時の注意点
フィールド数が 1000 を超えると Lucene のパフォーマンスが低下する可能性があるため、JSON 配列で同種項目をまとめる設計が推奨されます。
また、長文フィールドに searchable と retrievable を同時指定するとレスポンスサイズが肥大化するため、検索専用フィールドと表示用フィールドを分離すると安定します。
API活用方法とPythonとの連携
公式 Python SDK(azure-search-documents)を利用すると、非同期クライアントで 1 秒あたり数千ドキュメントをバルク取り込みできます。
検索は、 search_client.search()、ベクトル検索は vector_queries を付与するだけで呼び出せるので、FastAPI と組み合わせれば数十行で REST エンドポイントを実装可能です。
フィルター機能を活用した検索のカスタマイズ
OData フィルターでは price gt 100 and stock gt 0 のような、簡潔な構文で数値・文字列・日付を組み合わせた条件を設定することができます。
先にフィルターで対象件数を絞り、残りをベクトル検索にかける「Filter-then-Vector」方式を採用すると、レイテンシとコストを抑えながら精度を維持できます。
よくある質問
Azure AI Searchについて、ユーザーがよく疑問を抱きやすい内容をまとめました。
導入判断で迷った際、不明点がある際は、まず本章を参照するようにしてください。
Azure AI Searchとは?できることは?
Azure AI Search は全文検索・ベクトル検索・セマンティックランカーをワンストップで提供し、ドキュメントの登録から検索 API の利用までをクラウド上で完結させるサービスです。
小規模なブログ検索から数億件規模の EC カタログ検索まで、同一アーキテクチャで拡張できる柔軟性を備えています。
Azure AI SearchとChatGPTの違い
Azure AI Search は「情報を素早く見つけ出す」ための検索エンジンであり、ChatGPT は「文章を生成する」ための大規模言語モデルです。
両者を組み合わせた RAG 構成を取ると、検索で得た確かな情報を基に生成 AI が自然な回答を返すため、事実性と表現力を両立できます。
RAG機能の使い方とメリット
RAG機能の使い方は、Azure AI Search でユーザー質問に関連する文書チャンクを取得し、そのテキストをプロンプトに組み込んで GPT-4o に渡します。
これにより、幻覚(ハルシネーション)を抑制しながらドメイン知識を反映した回答を生成でき、FAQ ボットや社内ヘルプデスクの信頼性を高められます。
まとめ
Azure AI Searchは、ベクトル検索の無償提供と柔軟な料金スケールにより、検索基盤の選択肢として一段と実用度を増しました。
料金と機能のバランスを見極め、RAGやセマンティックランクを活用すれば、自社プロダクトの検索体験を次のレベルへ引き上げられます。
AIサービス導入のご相談は AI導入.com へ(完全無料)
- マッキンゼー出身の代表による専門的なアドバイス
- 日本・アメリカの最先端AIサービスの知見を活用
- ビジネスの競争力を高める実践的な導入支援