クラウドAIとは?エッジAIとの違い・活用事例・導入方法

最終更新日: 2025-04-12

業務効率化やコスト削減を目指す企業の間で、クラウドAIの活用が進んでいます。 クラウド環境に生成AIや音声認識、文字起こし、自動要約などの機能を組み込むことで、導入・運用のハードルを下げながらも高度な処理が可能になります。

Microsoft CopilotをはじめとしたクラウドAIサービスの比較や、ChatGPTとの連携事例も増加中です。

この記事では、クラウドAIの特徴・使い方・デメリットまでをわかりやすく解説し、無料から始められる活用方法や、導入企業の成功事例も紹介します。

また、弊社では「AI使いたいが、どのような適用領域があるのかわからない…」「AI導入の際どのサービス提供者や開発企業を組めばいいかわからない…」という事業者の皆様に、マッキンゼーやBCGで生成AIプロジェクトを経験したエキスパートが完全無料で相談に乗っております。

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仲 思成
監修者: 仲 思成

AI導入.comを提供する株式会社FirstShift 代表取締役。トロント大学コンピューターサイエンス学科卒業。株式会社ANIFTYを創業後、世界初のブロックチェーンサービスを開発し、東証プライム上場企業に売却。その後、マッキンゼー・アンド・カンパニーにコンサルタントとして入社。マッキンゼー日本オフィス初の生成AIプロジェクトに従事後、株式会社FirstShiftを創業。

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クラウドAIとは

クラウド基盤から浮かび上がる「AI」の文字を、寒色系で無機質・ビジネス風に描いたリアルなデジタルイラスト
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クラウドAIとは、クラウド上で提供されるAI機能を指し、インターネット経由で誰でも利用できるAIサービスです。 サーバー構築や高度な知識がなくても、テキスト生成、音声認識、画像分析、チャットボットなどを業務に取り入れられます。

特に注目されているのが、Microsoft CopilotやGoogle Cloud AI、ChatGPTなどの生成系AIとの連携です。 社内のドキュメント整理、営業資料の自動作成、顧客対応の効率化など、さまざまな部門での活用が広がっています。

この記事では、クラウドAIの基本的な仕組み、導入メリットとリスク、実際の活用事例から、選び方・使い方のポイントまで詳しく解説します。

クラウドAIの主なメリット4つ

「AI」の文字を中心に、コスト削減・スケーラビリティ・革新・自動化を象徴するアイコンが寒色系で配置された、無機質でリアルなビジネス向けイラスト
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クラウドAIは自社サーバーを持たなくても利用でき、コスト面や運用面でのメリットが大きいのが特長です。

本章では、「導入費用の削減」「柔軟なスケールアップ・ダウン」など企業導入において特に注目される主なメリット4つを紹介します。

①導入費用の削減

クラウドAIは、オンプレミス型と違い、専用サーバーや大規模な構築作業が不要のため、導入費用の削減が可能です。

月額課金や従量制の料金体系が主流で、必要な機能だけをスモールスタートで導入できる点も大きなメリットです。自社インフラへの投資が不要となり、初期コストを抑えながら最新のAI機能をすぐに使い始めることができます。

中小企業やスタートアップでも負担が少なく導入できることから、業種・規模を問わず導入が進んでいます。

②柔軟なスケールアップ・ダウン

クラウドAIは、急なアクセス増加期間限定のプロジェクトにも対応できるよう、柔軟にリソースのスケールアップ・ダウンが可能です。

必要なときに必要な分だけリソースを増減できるため、コストとパフォーマンスのバランスを最適化できます。

③最新AI技術の利用

クラウドAIなら、常に最新のAI技術モデルを即座に利用できるのが大きなメリットです。

社内に専門人材がいなくても、開発不要で高度な機能を取り入れられるため、技術投資の負担を抑えつつ、業務改善やサービス強化が図れます。

④運用管理の手間削減

クラウドAIは、自社でのサーバーソフトウェアの保守・アップデートが不要になるため、運用管理の手間を大幅に削減できます。

IT担当者の負担を軽減しながら、常に安定した環境でAIを活用できるのがメリットです。

クラウドAI導入時のデメリット

「AI」の文字のまわりに、セキュリティリスクやネットワーク障害、制約を示す警告アイコンやロックマークが寒色系で描かれた、リアルで無機質なビジネス向けイメージ
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クラウドAIは便利な反面、導入にはいくつかの注意点があります。 セキュリティ、ネットワーク環境、契約の自由度なども確認が必要です。

本章では、「セキュリティ・個人情報漏洩のリスク」「ネットワーク依存による遅延」「ベンダーロックイン」といった代表的な3つのデメリットを解説します。

セキュリティ・個人情報漏洩のリスク

クラウドAIは、インターネット経由でサービスを利用するため、情報漏洩不正アクセスなどのセキュリティ・個人情報漏洩のリスクがあります。社外との通信を伴うため、利用時には厳格な管理体制やガイドライン整備が求められます。

特に個人情報や機密情報を扱う企業では、暗号化やアクセス制限など十分な対策が必要です。

ネットワーク依存による遅延

クラウドAIはインターネット接続を前提とするため、大規模なデータ処理時回線不安定な環境では、ネットワーク依存による遅延が発生するリスクがあります。

特にリアルタイム性が求められる業務では、パフォーマンスに影響を及ぼす可能性があるため、事前の回線環境の確認や対策が重要です。

ベンダーロックイン

クラウドAIは、独自仕様のAPIやデータ形式影響するため、ベンダーロックインのリスクがあります。

一度特定のサービスに依存すると、他社サービスへの移行が難しくなり、自由度やコスト面で制約を受ける可能性があります。

クラウドAIとエッジAIの違い

クラウドに接続された「AI」と、端末に内蔵された「AI」を対比的に描いた寒色系のビジネス向けリアルイラスト(無機質な雰囲気)
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クラウドAIとエッジAIは、処理の場所や得意分野が異なります。 用途や導入目的に応じて、どちらを使うべきかの判断が重要です。

本章では、「エッジAIとは?」「セキュリティから見る違い」など、 4つの視点から両者の違いをわかりやすく解説します。

エッジAIとは?

エッジAIは、端末側(エッジデバイス)でAI処理完結できる技術です。

通信不要で即時処理できるため、センサー搭載機器やIoT製品での活用が進んでいます。 たとえば、製造現場の異常検知や自動車の運転支援など、 即時性が求められる環境で特に効果を発揮します。

また、クラウドにデータを送信しないことでプライバシー保護の観点でもメリットがあり、 医療や監視カメラ分野など、個人情報を扱うシーンでも導入が広がっています。

セキュリティから見る違い

セキュリティから見る違いは、エッジAIの方がクラウドAIよりもリスクを抑えやすい点です。

クラウドAIはインターネットを介してデータを送受信するため、通信途中の情報漏洩や外部攻撃のリスクがあります。

一方、エッジAIは端末内で処理を完結させるため、機密情報を外部に出すことなく処理でき、ネットワーク依存も最小限に抑えられます。

演算リソースから見る違い

演算リソースから見る違いは、クラウドAIの方が大規模かつ高性能な処理に向いている点です。

クラウドAIは、サーバー上のGPUや専用チップを利用できるため、複雑な演算や大量データの処理に強みがあります。

一方、エッジAIは小型機器での利用を前提とし、軽量・高速な処理に特化しています。現場でのリアルタイム処理やネット接続が不安定な環境に適しています。

処理速度から見る違い

処理速度から見る違いは、エッジAIの方がクラウドAIよりリアルタイム処理優れている点です。

クラウドAIは通信を介すため遅延が生じやすいのに対し、エッジAIは端末内で即時処理が可能なため、即応性が求められるシーンに適しています。

クラウドAIは無料で利用できる?

「AI」と記されたクラウドが浮かぶ、寒色系の無機質なビジネス風テックイラスト
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クラウドAIは一部の機能に限って無料で利用できます。

多くのクラウドAIサービスでは、初期導入のハードルを下げるために「無料プラン」や「トライアル版」を提供しています。ただし、無料で使える範囲には制限があるのが一般的です。

本章では、無料で使える主なクラウドAIサービスの例と、無料プランを利用する時の注意点について解説します。

無料で使えるクラウドAIサービスの例

無料で使えるクラウドAIサービスには、ChatGPTやNotion AI、Google CloudのVertex AIなどがあります。

多くは月間の使用回数や機能に制限がありますが、導入前の検証や簡易な業務には十分対応でき、コストをかけずに生成AIを体験できます。

無料プランを利用する時の注意点

クラウドAIサービスを無料で使う場合、利用回数出力精度、APIアクセス制限がある点が注意点です。

多くのサービスでは、無料で試せる代わりに機能や使用回数に制限があり、商用利用不可の場合もあります。業務導入前には、どこまで使えるかを確認し、過信しすぎないよう注意しましょう。

主要なクラウドAIサービス

クラウドとAIが連携する様子を表現した、寒色系の無機質でビジネスライクなテックイラスト(文字は「AI」のみ)
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クラウドAIの導入を検討するうえで、どのサービスを選ぶかは非常に重要です。

本章では「AWS」「Microsoft Azure」「Google Cloud」など主要なクラウドAIサービスについて、それぞれの特徴料金の目安を紹介します。

AWS

AWSは、豊富なAI機能と拡張性の高さが特徴で、画像認識自然言語処理など幅広い用途に対応しています。

例えば「Amazon SageMaker」を使えば、開発経験が浅くても機械学習モデルを構築・学習・デプロイまで一貫して行えます。

また、既存のAWSインフラとの連携もスムーズなため、すでにクラウド環境を構築済みの企業にとっては導入しやすい選択肢です。

AWS(Amazon Web Services)の料金表

| サービスカテゴリ サービス名 料金(概算) 備考
コンピューティング Amazon EC2(t3.micro) 約0.0104 USD/時間 インスタンスタイプにより異なる
ストレージ Amazon S3 約0.023 USD/GB/月 使用量に応じて変動
データベース Amazon RDS(m5.large) 約0.124 USD/時間 データベースエンジンにより異なる
サーバーレス AWS Lambda 約0.00001667 USD/GB-秒 リクエスト数と実行時間に基づく
AIサービス Amazon SageMaker 使用量に応じた従量課金制 トレーニングと推論で料金が異なる

Microsoft Azure

Microsoft Azureホーム画面
出典:Microsoft公式サイト

Microsoft Azureは、Microsoft製品との親和性が高く、業務システムとの連携がしやすいクラウドAIサービスです。

特にビジネス向けのデータ活用や生成AI機能に強みがあり、Copilot連携も注目されています。

Microsoft Azureの料金表

| サービスカテゴリ サービス名 料金(概算) 備考
コンピューティング Azure Virtual Machines(B1s) 約0.012 USD/時間 インスタンスタイプにより異なる
ストレージ Azure Blob Storage 約0.0184 USD/GB/月 使用量に応じて変動
データベース Azure SQL Database(S0) 約0.008 USD/時間 パフォーマンスレベルにより異なる
サーバーレス Azure Functions 約0.000016 USD/GB-秒 リクエスト数と実行時間に基づく
AIサービス Azure Cognitive Services 使用量に応じた従量課金制 サービスごとに料金が異なる

Google Cloud

Google Cloudは、データ分析や機械学習に強みを持つクラウドAIプラットフォームです。

生成AI(Vertex AI)やチャットボットAPIなどの最新機能が充実しており、技術の先進性が評価されています。

Google Cloudの料金表

サービスカテゴリ サービス名 料金(概算) 備考
コンピューティング Amazon EC2(t3.micro) 約0.0104 USD/時間 インスタンスタイプにより異なる
ストレージ Amazon S3 約0.023 USD/GB/月 使用量に応じて変動
データベース Amazon RDS(m5.large) 約0.124 USD/時間 データベースエンジンにより異なる
サーバーレス AWS Lambda 約0.00001667 USD/GB-秒 リクエスト数と実行時間に基づく
AIサービス Amazon SageMaker 使用量に応じた従量課金制 トレーニングと推論で料金が異なる

クラウドAIの具体的な活用事例5選

暗いテック系インターフェース上で、発光する「AI」アイコンに触れるビジネスマンを描いた、ビジネスをテーマにしたデジタルイラスト
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クラウドAIは、業界を問わず多様な分野で実用化が進んでいます。

本章では、「チャットボットで顧客対応の自動化」「AIによる文字起こしの自動化」「医療現場での診断支援」などクラウドAIの具体的な活用事例5つを紹介します。

①チャットボットで顧客対応の自動化

みずほ銀行では、クラウドAIを活用した「みずほチャットサポート」を導入し、ユーザー対応を自動化しています。

フリーワードでの問い合わせに対応し、約80%の質問をAIが処理しています。人的コスト削減と満足度向上に貢献しています。

②AIによる文字起こしの自動化

ヤフー株式会社では、社内会議やインタビューの文字起こしにGoogle Cloud Speech-to-Textを導入しています。

話者ごとの区別専門用語への対応も可能となり、議事録作成手間が大幅に削減されました。

③医療現場での診断支援

医師がデジタルスキャンと診断データを確認しているハイテク医療インターフェースに「AI」の光るアイコンが表示された、寒色系・無機質なリアルビジネス風のイラスト。文字は「AI」のみ。
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エムスリーは、医師向けの診断支援にクラウドAIを活用しています。医療画像やカルテから疾患の可能性を推定するAIを導入し、診断の補助に役立てています。 特に放射線分野での活用が進み、早期発見の精度向上に貢献しています。

④製造業における異常検知

オムロンは、工場の製造ラインにおいてクラウドAIを活用した異常検知システムを導入しています。

センサーからのデータをリアルタイムに分析し、異常の兆候を即時に検出します。

品質管理稼働率の改善に役立てています。

⑤小売業界の需要予測

イオンリテールは、AzureのクラウドAIを活用して、販売データの分析と需要予測を高度化しています。

気温・天候・曜日・過去の売上傾向など多様な要因をAIがリアルタイムで分析し、商品の発注量や在庫の最適化に活用しています。

結果として、売れ残り欠品のリスクを低減し、店舗運営の精度と効率を同時に向上させています。

クラウドAIの導入手順

「AI」を中心に、企画・データ準備・デプロイ・モニタリングなどの工程が視覚的に示されたフローチャート形式のビジネス向けイラスト。
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クラウドAIの導入には、いきなり技術的な実装に進むのではなく、目的の明確化やデータ整備といった“事前準備”が欠かせません。

本章では、「目的と要件の定義」「データの準備と管理」「AIモデルの利用または作成」「運用環境の構築・デプロイ」などクラウドAIの導入に必要な手順を解説します。

目的と要件の定義

クラウドAIの導入においては、「何をAIに任せたいか」「どの業務を改善したいか」といった目的と要件を適切に定義することが重要です

この段階で曖昧なまま進めてしまうと、ツール選定のミスマッチや成果の不明確さにつながります。 たとえば「問い合わせ対応の自動化」や「売上予測の精度向上」など、具体的な目的を言語化することで、AI導入の方向性が明確になり、社内の合意形成やプロジェクト管理もスムーズになります。

データの準備と管理

クラウドAIの導入では、業務で扱うデータ準備管理が不可欠です。

AIの精度は入力データの質に大きく左右されるため、データの整理・クリーニング・フォーマット統一などの事前作業が重要です。 また、個人情報を含む場合は、適切な匿名化処理やセキュリティ対策も求められます。 たとえば、顧客対応AIであれば、問い合わせログやFAQデータの構造化が初期段階の肝となります。

AIモデルの利用または作成

クラウド型AIシステムと連携したデジタルデータを操作するビジネスパーソンの寒色系イメージ画像(AIの文字あり)
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クラウドAIの導入では、コスト・精度・導入スピードを踏まえ、既存モデルの活用か自社用モデルの作成かを判断する必要があります

既存のAIモデル(例:ChatGPTや画像認識API)は短期間で導入できる反面、業務特化には限界がある場合もあります。

一方、自社用にAIをカスタマイズ・学習させる場合は、初期コストや開発期間がかかるものの、より高い精度での活用が可能です。 業務内容や予算、将来的な拡張性を見据えて選定することがポイントです。

運用環境の構築・デプロイ

クラウドAIを業務で活用するには、API連携や業務フローへの統合を含む、実運用に即した環境の構築とデプロイが必要です

たとえば、既存システム(CRM、社内ツールなど)との連携や、自動処理のフロー設計が求められます。

単にモデルを作るだけでなく、社内で「使える形」に落とし込むことで、初めて業務改善に直結します。

モニタリングと改善

クラウドAIを安定運用するには、出力結果の精度やパフォーマンスを継続的にモニタリングし、必要に応じて学習データや設定を改善することが重要です

導入後も定期的なチューニングを行うことで、精度の低下を防ぎ、業務の変化にも柔軟に対応できます。

モニタリングを怠ると、誤った判断や業務上のトラブルにつながる可能性もあるため注意が必要です。

まとめ

「AI」の発光アイコンを中心に、スーツ姿のビジネスパーソンが業務効率や競争力を象徴するデジタルシステムを分析している寒色系のリアルなイラスト。文字は「AI」のみ表示。
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クラウドAIは、企画立案から顧客対応、データ分析や予測まで、多様な業務を支援する強力なテクノロジーです。導入コストを抑えつつ、スケーラブルに運用できる点は、特に中堅・中小企業にとって大きなメリットです。

一方で、セキュリティリスクやベンダーロックインなどの懸念点もあるため、目的の明確化と導入プロセスの可視化が成功の鍵となります。

本記事では、生成AIとの違いや主要クラウドサービスの比較、具体的な活用事例から導入ステップまで、クラウドAIのビジネス活用に必要な全体像を整理しました。

クラウドAI正しく理解し、自社の業務に合った形で導入することで、業務効率の向上や新たな価値創出に大きく貢献できます。

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