【完全版】プロンプトエンジニアリングとは?代表的な手法とスキル取得方法を解説
プロンプトエンジニアリングは、AI技術の進展とともに注目される新たな分野です。
本記事では、プロンプトエンジニアリングの基本から代表的な手法、効果的なプロンプト作成のコツ、プロンプトエンジニアのキャリア情報、学習に役立つ教材やツールまで、幅広く解説します。
また、弊社では「AI使いたいが、どのような適用領域があるのかわからない…」「AI導入の際どのサービス提供者や開発企業を組めばいいかわからない…」という事業者の皆様に、マッキンゼーやBCGで生成AIプロジェクトを経験したエキスパートが無料で相談に乗っております。
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AI導入.comを提供する株式会社FirstShift 代表取締役。トロント大学コンピューターサイエンス学科卒業。株式会社ANIFTYを創業後、世界初のブロックチェーンサービスを開発し、東証プライム上場企業に売却。その後、マッキンゼー・アンド・カンパニーにコンサルタントとして入社。マッキンゼー日本オフィス初の生成AIプロジェクトに従事後、株式会社FirstShiftを創業。
プロンプトエンジニアリングとは?
プロンプトエンジニアリングとは、AIに対して適切な指示を与えるためのプロンプトを設計し、最適化する技術です。
AIは入力されたプロンプトに基づいて回答を生成するため、プロンプトの質が出力結果に大きく影響します。
効果的なプロンプトを作成することで、AIの性能を最大限に引き出し、ユーザーの期待に応える回答を得ることが可能となります。
現在注目されている背景
近年、ChatGPTなどの生成AIの普及に伴い、プロンプトエンジニアリングの重要性が高まっています。
AIの性能を最大限に引き出すためには、適切なプロンプトの設計が不可欠であり、AIの回答精度や有用性が大きく向上します。
そのため、プロンプトエンジニアリングに精通した人材への需要が増加しています。
プロンプト作成の基本
プロンプト作成の基本は、AIに対して明確で具体的な指示を与えることです。
曖昧な表現や不明確な指示は、AIが誤った応答を生成する可能性を高めます。
ここではプロンプト作成の基本を見ていきます。
効果的なプロンプト作成のポイント
効果的なプロンプトを作成するためには、以下のポイントを押さえることが重要です。
- 明確な表現で情報を伝達
- 指示を段階的に追加
- 事例を交えて伝達
プロンプト作成時に避けるべきこと
プロンプト作成時には、曖昧な表現や不明確な指示を避けることが重要です。
また、過度に複雑な指示や一度に多くの要求を詰め込むことも避けるべきです。
シンプルで明確なプロンプトを作成し、必要に応じて段階的に指示を追加することで、AIから望ましい回答を引き出すことができるでしょう。
プロンプトエンジニアリングの代表的な手法
プロンプトエンジニアリングには、さまざまな手法が存在します。
ここでは代表的な手法を解説していきます。
Zero-shotプロンプティング
Zero-shotプロンプティングは、出力例やヒントを一切与えずに、AIに直接質問を投げかける手法です。
シンプルな質問に向いており、AIが自ら答えを推測します。
【例】 『東京のおすすめ観光スポットを教えてください。』
Few-shotプロンプティング
モデルに指示を出す際、回答例(Few-shot)をいくつかプロンプト内で提示し、そのフォーマットやルールに沿って出力を生成させる手法です。
意図を具体的に伝え、精度や整合性を高めたい場合に適しています。
【例】
以下について、良いか悪いか中立かを判断してください
美しい景色が広がる海辺/良い
散らかったゴミだらけの道/悪い
丁寧で親切な接客/良い
色褪せた古い看板/
Chain-of-Thought (CoT) プロンプティング
Chain-of-Thought (CoT) プロンプティングは、AIに対して段階的な思考プロセスを示すことで、より論理的な回答を引き出す手法です。
これにより、AIが問題解決の手順を理解しやすくなります。
【例】
問題:AはBより背が高く、BはCより背が高い。最も背が高いのは誰ですか?
推論プロセス:A > B、B > Cなので、Aが最も背が高い。
回答:
Self-Consistency(自己整合性)プロンプティング
Self-Consistencyプロンプティングは、特に計算問題、論理パズル、文章からの情報抽出と推論など、答えが一つに定まるものの、そこに至る道筋が複数考えられる場合に有効です。
AIに対して、上記の問題を解くように指示します。
この際、複数の異なる考え方で答えを導き出すように促します。
【例】
以下の問題を、複数の異なる思考ステップで解いて、それぞれの最終的な答えを出してください。
【問題】
あるイベント会場で、最初に赤い風船が50個、青い風船が40個用意されました。イベント中に赤い風船の20%が割れてしまい、青い風船は15個が子供たちに配られました。イベント終了時に残っている風船は合計で何個ですか?
思考プロセスと最終的な答えを3パターン考えてください。
ReActプロンプティング
ReActプロンプティングは、「推論(Reasoning)」と「行動(Action)」をAIに明示的に指示することで、問題解決を促す手法です。
推論と行動を交互に繰り返しながら最終的な回答を導きます。
【例】
あなたは、思考(Thought)、行動(Action)、観察(Observation)を繰り返してタスクを実行するAIアシスタントです。以下のタスクをこのプロセスに従って解決してください。
【タスク】
Apple社の最新の株価と、その株価に影響を与えた可能性のある最近のニュース(直近1週間程度)を調べて、簡潔にまとめてください。
利用可能な行動(Action):
- Search[検索クエリ]: ウェブで情報を検索する。 (例: Search[Apple 最新株価])
- LookupStock[ティッカーシンボル]: 特定の企業の株価を調べる。(例: LookupStock[AAPL])
- Finish[回答]: 最終的な回答を生成する。
ステップバイステップで思考プロセスを記述しながら進めてください。
効果的なプロンプトにするためのコツ
効果的なプロンプトを作るには、明確な目的設定、具体的な指示、文脈の整備、出力例の提示、曖昧さの排除、フィードバックの活用が重要です。
各項目で具体的にどのようなポイントを意識すればよいかを順に解説していきます。
明確な目的と期待結果を設定する
プロンプト作成では、最初に目的と期待する結果を明確にする必要があります。
【例】
×「面白い話を教えて」
○「友達と盛り上がれるような、短めの面白い話を1つ教えてください」
具体的な指示を与える
プロンプトでは、具体的かつ明確な指示を与えることが重要です。
【例】
×「健康になる方法を教えて」
○「健康を保つために効果的な、食生活に関するアドバイスを3つ挙げてください」
プロンプトの文脈を整える
文脈を整理し、背景情報を適切に提供することで、AIがより正確で状況に適した回答を出せるようになります。
【例】
×「おすすめの本を教えて」
○「最近、自己啓発本に興味があります。自己肯定感を高められるおすすめの本を2冊紹介してください」
望ましい出力例を示す
望ましい回答の例を提示することで、AIは回答形式や内容を理解し、求められた形式に沿った回答を生成できます。
【例】
以下の文章を丁寧な表現に直してください。
「やっておいて」→「お手数ですがお願いできますか?」 「これ見ておいて」→
あいまいさを減らす
曖昧な表現はAIの誤解を招き、的外れな回答につながることがあります。
なるべく具体的で明瞭な表現を使用しましょう。
【例】
×「いい感じの店を教えて」
○「東京都内で、静かでゆっくり過ごせるカフェを3店舗教えてください」
フィードバックを活用してプロンプトを改善
一度作ったプロンプトに対して得られた回答を元に、AIの回答の質を確認し、改善点を探してプロンプトを最適化しましょう。
【例】
「最初のプロンプトでは回答が簡潔すぎたため、次の試行では『各項目について、理由も含めて詳しく説明してください』という指示を追加。」
プロンプトエンジニアの年収と将来性
プロンプトエンジニアは注目されている新しい職種であり、市場の成長性や給与面での魅力も高いとされています。
具体的な仕事内容や将来性について解説します。
プロンプトエンジニアの仕事内容と年収水準
プロンプトエンジニアの主な仕事内容は、効果的なプロンプト設計やAIの出力品質管理、プロンプトの改善・最適化です。
年収水準は、経験やスキルによりますが、日本では約500~1000万円ほどとされています(2024年)。
需要が急増しているため、今後さらに上昇が見込まれています。
今後の市場成長性とキャリア
AI市場が拡大し続けているため、プロンプトエンジニアの需要は今後も伸び続けることが予想されます。
また、AIを導入する企業が増えるにつれて、専門性の高いプロンプトエンジニアへの評価も高まり、長期的なキャリアとしての安定性も見込まれています。
プロンプトエンジニアになる方法
プロンプトエンジニアを目指すために必要な能力や取得すべき資格について解説します。
必要な能力とスキルセット
プロンプトエンジニアには、言語表現力、論理的思考力、AIツールへの理解が求められます。
また、課題解決力や分析力、コミュニケーション能力なども重要です。
特に、AIを活用した実務経験が評価されやすい傾向があります。
取得すべき資格と試験情報
現時点(2024年)で、プロンプトエンジニアに特化した広く認知された公式資格は存在しません。
しかし、AI分野全般の知識を証明するために役立つ資格はいくつかあります。
例えば、AIに関する基礎知識を問う「G検定(ジェネラリスト検定)」や、AI開発・実装に関するより専門的な知識・スキルを問う「E資格(エンジニア検定)」などが挙げられます。
これらの資格を取得することは、AIへの基礎的な理解や実装能力を客観的に示す上で有効であり、プロンプトエンジニアとしてのキャリアを築く上でのアピールポイントになり得ます。
プロンプトエンジニアリング習得に役立つ教材
プロンプトエンジニアリングを学ぶ上で役立つ教材や書籍、eラーニングの選び方について紹介します。
初心者向け書籍選定のポイント
初心者向けには、具体的なプロンプトの例や事例が豊富で、実際にAIを操作しながら学べるような書籍を選ぶと効果的です。
また、平易な言葉で解説されているものがおすすめです。
Amazonで人気のおすすめ書籍
-
『プロンプトエンジニア1年目が学ぶこと』(ChatGPT プロンプトエンジニア ナツキ (著), 清水 昴 (著))
出典:Amazon
-
『ChatGPTを使い尽くす! 深津式プロンプト読本』(深津貴之 (著), 岩元直久 (著))
出典:Amazon
効率的に学べるeラーニング教材
UdemyやCourseraなどのプラットフォームでは、プロンプトエンジニアリングの基礎から実践的な応用まで幅広い講座が提供されています。
特に、具体的なプロジェクトを通じて学べる講座が効果的です。
プロンプト作成に役立つツール
プロンプト作成を支援する代表的なツールとして、以下のものがあります。
ツール1:PromptPerfect
AI向けのプロンプトを最適化し、精度向上を支援する自動改善ツールです。
ツール2:PromptBase
効果的なプロンプトの例を閲覧・購入可能なマーケットプレイス型プラットフォームです。
ツール3:AIPRM
ChatGPT向けに様々な目的に応じたプロンプトテンプレートを提供する便利なブラウザ拡張ツールです。
まとめ
プロンプトエンジニアリングを活用すれば、AIの性能を最大限に引き出し、業務効率や質の向上が可能です。
スキルを身につけ、市場価値を高めることで、AI時代において将来性のあるキャリアを築けるでしょう。
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