Browser Useとは?AIエージェントでブラウザ操作を自動化できるツールを徹底解説
この記事では、AIエージェントを活用したブラウザ自動操作ツール「Browser Use」の基本から応用までをわかりやすく解説します。 業務効率化や研究開発、さらにはマーケティングなど多彩な分野で活用できる注目のツールです。ぜひ最後までご覧ください。
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AI導入.comを提供する株式会社FirstShift 代表取締役。トロント大学コンピューターサイエンス学科卒業。株式会社ANIFTYを創業後、世界初のブロックチェーンサービスを開発し、東証プライム上場企業に売却。その後、マッキンゼー・アンド・カンパニーにコンサルタントとして入社。マッキンゼー日本オフィス初の生成AIプロジェクトに従事後、株式会社FirstShiftを創業。
Browser Useとは
Browser UseはPythonで開発されたオープンソースのAIエージェントツールで、AIにブラウザの操作を任せることができます。 2025年現在、GitHub上で59,000以上のスターを獲得し、AIエージェント分野で最も注目されているプロジェクトの一つです。
Browser Useを使えば、AIエージェントがウェブサイト上のボタンやフォーム、リンクなどの要素を認識し、 クリックや入力といった操作を自動的に行います。 これにより、検索やデータ収集、フォーム入力などの繰り返し作業を効率的に処理できます。
特筆すべきは、プログラミングに関する専門知識がなくても、自然言語で指示を与えるだけで 複雑なブラウザ操作を実行できる点です。
基本的な特徴
Browser Useには以下のような特徴があります:
- Python製ライブラリのため、幅広い環境で導入可能
- 自然言語で操作指示を出せるため、プログラミング知識が不要
- HTML要素の自動認識により、正確にボタンやフォームへアクセス
- マルチタブ管理や自己修正機能など多彩な機能を搭載
- GPT-4o、Claude 3.5、DeepSeek AIなど、様々なLLMに対応
Browser Useの活用メリット3選
Browser Useを活用することで、以下のような多くのメリットが得られます。
AI連携による業務自動化
Browser Useの最大の特徴は、GPT-4oやClaude 3.5などの最新LLMと連携して、 複雑なブラウザ操作をAIに任せられる点です。 自然言語で指示を出すだけで、以下のような業務を自動化できます:
- 複数サイトからのデータ収集と比較分析
- フォーム入力や申請作業の自動化
- ウェブサイトからの情報抽出とレポート作成
例えば、「先週の株価データを取得して、CSVファイルに保存して」という指示だけで、 AIが金融サイトを巡回し、データを整形して保存するという一連の処理を実行できます。
クロスプラットフォーム対応
Browser Useは、様々なプラットフォームやブラウザで動作します:
- Windows、macOS、Linuxなど主要OSに対応
- Chrome、Firefox、Edge、Safariなど幅広いブラウザをサポート
- Docker環境での実行も可能でコンテナ化されたデプロイメントに最適
この柔軟性により、企業の既存IT環境に合わせた導入が容易になります。 また、リモートワークが主流となった現代において、様々な端末やOS環境での一貫した自動化が実現可能です。
オープンソースコミュニティの活用
Browser Useはオープンソースプロジェクトとして開発されており、以下のような利点があります:
- 活発なコミュニティによる継続的な機能改善と拡張
- 6,500以上のフォークと170以上の貢献者が参加する充実したエコシステム
- 豊富なドキュメントと事例で導入ハードルが低い
このオープンな開発体制により、最新のAI技術や自動化テクニックを迅速に取り入れながら進化しています。 商用目的でも無料で利用できるMITライセンスで提供されているため、ビジネスでの導入障壁も低いです。
Browser Useの料金表
Browser Useは基本的にオープンソースのプロジェクトであり、ソフトウェア自体は無料で利用できます。 ただし、実際の運用には以下のようなコストが発生する場合があります。
プラン | 価格 | 特徴 | 向いているユーザー |
---|---|---|---|
オープンソース版 | 無料 | - ローカル環境で実行- 全機能利用可能- コミュニティサポート | 開発者、技術者、学習目的 |
クラウド(Starter) | $29/月 | - インフラ管理不要- 10プロファイル- 基本サポート | 個人ユーザー、小規模ビジネス |
クラウド(Base) | $79/月 | - 100プロファイル- API アクセス- 優先サポート | 中小企業、フリーランサー |
クラウド(Team) | $169/月 | - 350プロファイル- チーム3名まで- 高度なAPI利用 | 中規模企業、開発チーム |
クラウド(Advanced) | $329/月 | - 1,200プロファイル- チーム8名まで- プレミアムサポート | 大企業、大規模プロジェクト |
年間契約の場合は30%の割引が適用され、コスト効率が高まります。 また、APIリクエスト数やプロファイル数に応じたカスタムプランも用意されています。
注意点として、これらのクラウドプランを使用する場合でも、 OpenAI、Anthropic、Google AIなどのLLMプロバイダーのAPIキーは別途用意する必要があります。
Browser Use WebUIセットアップ方法
Browser UseのWebUIは、コードを書かずにGUIでBrowser Useを操作できる便利な環境です。 2025年5月時点で12,800以上のGitHubスターを獲得し、人気を集めています。
必要環境とインストール準備
WebUIをセットアップするには、以下の環境が必要です:
- Python 3.11以上
- Git(リポジトリのクローン用)
- 各種LLMのAPIキー(OpenAI、Anthropic、Googleなど)
まず、Python環境が整っていることを確認しましょう。 ターミナルで以下のコマンドを実行して、Pythonのバージョンを確認します:
python3 --version
バージョンが3.11未満の場合は、Pythonの更新が必要です。 macOSの場合はHomebrewを使って最新バージョンをインストールできます。
GitHubリポジトリからの導入
Browser Use WebUIをインストールするには、GitHubからリポジトリをクローンする方法が最も一般的です。 以下の手順で進めます:
- ターミナルで作業ディレクトリに移動し、リポジトリをクローンします:
git clone https://github.com/browser-use/web-ui.git
cd web-ui
- 仮想環境を作成して有効化します:
# uvを使用する場合(推奨)
uv venv --python 3.11
# 仮想環境を有効化(macOS/Linux)
source .venv/bin/activate
- 必要なパッケージをインストールします:
# uvを使用する場合(推奨)
uv pip install -r requirements.txt
- Playwrightのブラウザをインストールし、APIキーを設定します。
初期設定とログイン方法
すべての準備が整ったら、WebUIを起動しましょう:
python webui.py --ip 127.0.0.1 --port 7788
これにより、WebUIがローカルで起動します。
ブラウザでhttp://127.0.0.1:7788
にアクセスするとWebUIのインターフェースが表示されます。
WebUIには以下のような設定オプションがあります:
--ip
:WebUIをバインドするIPアドレス(デフォルトは127.0.0.1)--port
:使用するポート番号(デフォルトは7788)--theme
:UIのテーマ設定(Ocean、Default、Soft、Monochrome、Glass、Origin、Citrus)
Dockerを使用する場合は、以下のコマンドでWebUIを起動できます:
# 基本設定でコンテナを起動
docker compose up --build
Browser Useの使い方
Browser Useの基本的な使い方からAIエージェントとの連携、スクレイピング自動化までを解説します。
基本コマンドと実行例
Browser Useの基本的な使い方は非常にシンプルです。 Pythonスクリプトで以下のようにAIエージェントを作成し実行します:
from langchain_openai import ChatOpenAI
from browser_use import Agent
import asyncio
async def main():
agent = Agent(
task="Amazonで最高評価のBBQレシピ本をカートに入れて、予算は3000円まで",
llm=ChatOpenAI(model="gpt-4o"),
)
result = await agent.run()
print(result)
asyncio.run(main())
このスクリプトをamazon_search.py
などの名前で保存し、以下のコマンドで実行します:
python amazon_search.py
実行すると、AIエージェントがAmazonを開き、BBQレシピ本を検索し、 評価を確認してから予算内で最適な本をカートに追加します。
AIエージェント連携手順
Browser Useは様々なLLMと連携できます。主要なLLMとの連携方法を紹介します:
OpenAI GPT-4/GPT-4oとの連携
from langchain_openai import ChatOpenAI
from browser_use import Agent
agent = Agent(
task="Your instruction here",
llm=ChatOpenAI(model="gpt-4o"),
)
Anthropic Claudeとの連携
from langchain_anthropic import ChatAnthropic
from browser_use import Agent
agent = Agent(
task="Your instruction here",
llm=ChatAnthropic(model="claude-3-5-sonnet-20240620"),
)
さらに高度な設定として、メモリ機能を活用することで、 AIエージェントの連続したタスク実行や文脈の保持が可能になります。
スクレイピング自動化実践
Browser Useを使ったウェブスクレイピングの自動化例を紹介します。 以下は複数のニュースサイトから特定キーワードに関する最新ニュースを収集するスクリプトです:
from langchain_openai import ChatOpenAI
from browser_use import Agent
import asyncio
import os
async def scrape_news():
agent = Agent(
task="Google、Yahoo、CNNの3つのニュースサイトを開き、「人工知能」に関する最新ニュースを各サイトから3件ずつ収集して、タイトル、公開日、要約をCSVファイルにまとめてください。",
llm=ChatOpenAI(model="gpt-4o"),
)
result = await agent.run()
# 結果をファイルに保存
with open("ai_news_summary.txt", "w", encoding="utf-8") as f:
f.write(result)
print("スクレイピングが完了し、結果がai_news_summary.txtに保存されました")
asyncio.run(scrape_news())
Browser Useビジネス活用事例5選
実際のビジネスシーンでのBrowser Use活用事例を紹介します。
AIチャットサポート自動応答
顧客サポートチャットと連携し、AIがリアルタイムでウェブ上の情報を参照しながら回答する仕組みを構築できます。
- 顧客から製品の問い合わせがあったとき、AIが自動的に最新の製品ページを参照
- 社内ナレッジベースを検索して回答を生成
- 必要に応じてチケット発行やCRMへの情報登録も自動化
これにより、24時間対応可能な高度なサポート体制が実現でき、回答精度と顧客満足度の向上につながります。
EC価格モニタリング自動更新
EC事業者向けに、競合他社の価格をリアルタイムで監視し、自社の価格戦略に反映するシステムを構築できます:
- 競合サイトを定期的に巡回して価格情報を収集
- 価格差や在庫状況を分析
- 設定した条件に基づいて自動的に自社価格を更新
このシステムにより、市場の変化に迅速に対応し、競争力を維持することが可能になります。
営業リード生成スクレイピング
営業チームのリード獲得活動を効率化するため、複数の情報源から見込み客情報を自動収集するシステムを構築できます:
- 業界ニュースサイトやプレスリリースから企業の活動情報を収集
- SNSやビジネスプラットフォームから企業や担当者の情報を取得
- 収集した情報をCRMシステムに自動登録
これにより、営業担当者は質の高いリードに集中でき、成約率の向上が期待できます。
請求書処理RPA自動化
経理部門の業務効率化のため、請求書処理を自動化するRPAシステムを構築できます:
- 電子メールや専用ポータルから請求書を自動取得
- OCRと連携して紙の請求書もデジタル化
- 請求書データを抽出し会計システムに登録
- 承認ワークフローを自動化
これにより、経理業務の大幅な効率化と、人的ミスの削減が実現します。
クラウドダッシュボード監視・レポート生成
IT部門やDevOpsチーム向けに、クラウドリソースの監視とレポート生成を自動化するシステムを構築できます:
- 複数のクラウドプロバイダーの管理コンソールにアクセス
- リソース利用状況や課金情報を収集
- 異常値や最適化ポイントを検出
これにより、クラウドコストの最適化とリソース管理の効率化が実現します。
Browser Use利用時の注意点
Browser Useは非常に強力なツールですが、利用する際にはいくつかの注意点があります。
個人情報漏洩リスク
Browser Useを利用する際の最大の懸念の一つは、個人情報や機密情報の漏洩リスクです:
- 認証情報の扱い: AIエージェントがログイン情報を必要とするサイトにアクセスする場合、 認証情報の安全な管理が必要です。
- データ取り扱いポリシー: 収集したデータの保存場所や利用目的を明確にし、 法的規制(GDPR、CCPAなど)に準拠する必要があります。
対策として、機密情報を扱う場合は専用の隔離環境で実行したり、 オンプレミスのLLMを使用するなどの方法があります。
マルウェア混入リスク
オープンソースツールを利用する際のもう一つの懸念は、マルウェアや悪意あるコードが混入するリスクです:
- 依存関係の脆弱性: 利用しているライブラリに脆弱性が存在する可能性があります。
- 信頼できないソース: 非公式のフォークやカスタマイズ版には悪意あるコードが含まれている可能性があります。
- 過度な権限: ブラウザ操作ツールは本質的に高い権限を必要とするため、悪用されるリスクがあります。
これらのリスクを軽減するために、公式リポジトリから直接インストールし、 依存関係を定期的に更新することをお勧めします。
Browser Useのよくある質問
Browser Useに関するよくある質問とその回答をまとめました。
Browser Useは無料で使える?
Browser Use本体は、MITライセンスのオープンソースプロジェクトとして公開されており、基本的に無料で利用できます。 ただし、実際の運用には以下のコストが発生する可能性があります:
- LLMのAPI利用料: OpenAI、Anthropic、Google AIなどのLLMサービスを利用する場合、 それぞれのプロバイダーのAPI利用料が発生します。
- クラウドホスティング費用: サーバーレスで運用する場合のクラウドサービス利用料。
- Browser Use Cloud: 公式のクラウドサービスを利用する場合、プランに応じた月額料金が発生します。
開発やテスト目的であれば、ローカル環境で実行することでコストを最小限に抑えることが可能です。
Browser Use WebUIとは何ですか?
Browser Use WebUIは、Browser Useをグラフィカルインターフェースで操作できるウェブベースの管理ツールです。 以下のような特徴があります:
- コードレス操作: プログラミングせずにBrowser Useの機能を利用可能
- 複数のLLM対応: OpenAI、Anthropic、Google、DeepSeekなど多様なLLMに対応
- 設定の保存と共有: 設定プロファイルの保存、共有が可能
- ブラウザセッション管理: ブラウザセッションの保持や再利用が可能
WebUIはGradioベースで構築されており、ローカル環境でもDockerコンテナでも実行可能です。
Browser User Agentとはなんですか?
Browser User Agentという名称は、Browser Useとは異なる概念です。 User AgentはWeb標準の用語で、ウェブサイトにアクセスする際にブラウザが送信する識別情報を指します。
具体的には以下のような情報を含みます:
- 使用しているブラウザの種類とバージョン
- 実行しているオペレーティングシステム
- デバイスの種類(デスクトップ、モバイルなど)
Browser Useでは、このUser Agent情報をカスタマイズすることができ、 特定のブラウザやデバイスになりすましてウェブサイトにアクセスすることが可能です。
ただし、User Agentの偽装は一部のウェブサイトの利用規約に違反する可能性があるため、 利用には注意が必要です。
まとめ
Browser Useは、AIエージェントによるブラウザ自動操作を実現する革新的なオープンソースツールです。 自然言語による指示でウェブ上の複雑な操作を自動化でき、 業務効率化、データ収集、マーケティング活動などに大きな可能性をもたらします。
特に注目すべき点は以下の通りです:
- 多様なLLM対応: GPT-4o、Claude 3.5、Geminiなど最新のAIモデルと連携可能
- 柔軟な導入オプション: オープンソース版の無料利用からクラウドサービスまで幅広い選択肢
- 直感的なWebUI: プログラミング不要でAIエージェントを操作可能
- ビジネス活用事例の豊富さ: 顧客サポート、価格モニタリングなど多彩な応用例
一方で、個人情報漏洩やマルウェアリスクなどの懸念点にも留意する必要があります。 適切なセキュリティ対策を講じながら導入することが重要です。
2025年現在、Browser Useは急速に発展しており、コミュニティの活発な貢献により 機能が拡充されています。 AIとブラウザ自動化の可能性を最大限に引き出すツールとして、今後さらなる進化が期待されます。