【完全版】Deep Researchとは?高精度検索エージェントの機能を解説
2025年2月3日、OpenAIはChatGPT向けの新機能「Deep Research」をリリースしました。これは、自動的にオンライン情報の高度な探索と分析を行う「エージェント型機能」であり、複雑なマルチステップの調査を一度のリクエストで大幅に短縮する革新的な技術といえます。
OpenAIはこの機能を「AGI(汎用人工知能)への重要なステップ」「インターネットの新しいUI」と位置付けており、従来の検索や調査のスタイルを変える可能性が大いに期待されています。
本記事ではそんなDeepResearchの概要から特徴、安全性評価、実際に使ってみた結果や感想まで解説します。
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AI導入.comを提供する株式会社FirstShift 代表取締役。トロント大学コンピューターサイエンス学科卒業。株式会社ANIFTYを創業後、世界初のブロックチェーンサービスを開発し、東証プライム上場企業に売却。その後、マッキンゼー・アンド・カンパニーにコンサルタントとして入社。マッキンゼー日本オフィス初の生成AIプロジェクトに従事後、株式会社FirstShiftを創業。
Deep Researchとは?
Deep Researchは、OpenAIの最新モデル「o3」を活用し、数十分かかるような複雑なリサーチ作業を数分〜最大30分程度で自動化するエージェント型機能です。ウェブブラウジングやPDF・画像解析、さらにPythonツールによるデータ分析まで、段階的に自律実行して専門家レベルの情報収集やレポート作成を行います。
従来のChatGPTとの差異
- 対話ごとの短文応答が中心だった従来のChatGPTに対して、Deep Researchは数十分かけて連続思考を行い、大規模かつ高度な分析を可能にします。
- ユーザーからリクエストを受け取ると、エージェントが複数のステップでウェブを巡回し、必要があればPythonコードで統計解析・可視化まで自動的に実行。
- 分析結果を出典付きで提示するため、回答の根拠を検証しながら利用できます。
OpenAIのCEOサム・アルトマン氏は「人間が数時間~数日かけて調べるリサーチ業務の多くを、短時間で完遂するスーパーパワーだ」と語っています。
today we launch deep research, our next agent.
this is like a superpower; experts on demand!
it can go use the internet, do complex research and reasoning, and give you back a report.
it is really good, and can do tasks that would take hours/days and cost hundreds of dollars.— Sam Altman (@sama) February 3, 2025
Deep Researchの主な特徴
機能・特長 | 概要 | メリット |
---|---|---|
o3モデルに基づくエージェント設計 | 最新モデル「o3」を活用し、ウェブブラウジングとPython実行を統合。 | 従来より高い応答精度と柔軟性を実現 |
マルチステップ調査の自動化 | 「ウェブ検索→ファイル解析→要約→レポート作成」を自動で実行。 | 一度のリクエストで複雑かつ大規模な調査が完了 |
Pythonツール・画像/PDF解析の統合 | Pythonコードでの数値解析や統計処理、PDF・画像ファイルの読み取りも可能。 | 専門領域のデータ分析や数式計算、可視化を一貫して効率化 |
専門分野への高い対応力 | 医療・化学・言語学・金融など、幅広い分野で数時間のリサーチを数十分に短縮する事例。 | 難易度の高いタスクや論文レベルの調査にも実用的 |
長時間の自律的な分析が可能 | 5〜30分以上にわたる連続思考で情報を取り込みつつ精度を高める。 | 「AGIに近い思考プロセス」を体感でき、膨大な調査タスクに有効 |
出典付きレポート | 参考にしたサイトやファイル、論文などの情報源を明記。 | エビデンスを検証しやすく、回答の信頼性が向上 |
Deep Researchの技術的特徴
強化学習を用いたエージェント最適化
自律的に情報を探索・評価し、不要なサイトを除外するなど、まるで「人間の専門家」が行うような柔軟な調査プロセスを学習。
Pythonコード実行の自動化
ChatGPTのAdvanced Data Analysisに類似する機能が内蔵され、数値解析やグラフ生成まで一貫して行える。
時間をかけた「じっくり思考」
従来のリアルタイム対話とは別に、5〜30分以上かけて検索→要約→追加分析を繰り返す。誤情報(ハルシネーション)を大幅に低減し、網羅的で精密なレポートを得られる。
Deep Researchを提供しているChatGPTプランは?
プラン別の提供状況は以下の通りです(2025年7月現在)。
プラン | 月額料金 | 利用枠(Deep Research) | 提供開始 | 備考 |
---|---|---|---|---|
Free | 無料 | 5クエリ(軽量版のみ) | 2025年4月〜 | 軽量版o4-miniモデルを使用 |
Plus | $20 | 25クエリ(15軽量版+10完全版) | 2025年2月〜 | 全機能アクセス可能 |
Team | $30/月 | 25クエリ(15軽量版+10完全版) | 2025年2月〜 | ビジネス向け機能付き |
Pro | $200 | 250クエリ(125軽量版+125完全版) | 2025年2月〜 | 最大利用枠とPro Mode対応 |
Enterprise | $60〜 | 25クエリ(カスタマイズ可能) | 2025年2月〜 | 企業向けカスタマイズ対応 |
- 軽量版について: 2025年4月にo4-miniベースの軽量版が追加され、使用制限に達すると自動的に軽量版に切り替わります。
- プラットフォーム: ウェブ版、iOS、Android、macOS、Windows全てで利用可能です。
Deep Researchのパフォーマンス・ベンチマーク結果
Humanity’s Last Exam (HLE)における評価
多領域・高難度の数千問を出題するベンチマーク「Humanity’s Last Exam」において、Deep Research (o3)は既存モデル(例:o1)の約9.1%を大きく上回る26.6%の正答率を記録。
OpenAIによると、従来のGPT-4派生モデルが3〜6%台に留まる問題にも対応できるほど、長時間の思考+ブラウジング+Pythonツールの活用が効果を発揮しているといいます。
モデル | 正答率 |
---|---|
既存モデル(o1)の平均 | 約9.1% |
Deep Research (o3) | 26.6% |
GAIAにおける評価
財務分析や政策立案、法的文書の読解といった実社会の複雑な課題を評価する「GAIA」では、Deep Research (o3)が72.57%のスコアを達成。従来のSOTAモデル約63.64%を上回り、特にマルチステップ推論を要する高度なタスクで大きく差をつけました。
モデル | スコア |
---|---|
従来SOTA(平均) | 約63.64% |
Deep Research (o3) | 72.57% |
Deep Researchの最新アップデート・展開
ChatGPT Agent統合(2025年7月17日リリース)
OpenAIは2025年7月17日、Deep ResearchとOperatorを統合した「ChatGPT Agent」を正式リリースしました。この統合により、研究と実行が一つのモデル内で完結し、従来よりも効率的で精密な結果を得られるようになります。
主要な新機能
- 視覚ブラウザアクセス: ウェブサイト上でクリック・フィルタリング・スクロールを自動実行
- 複合タスク対応: 「カレンダーを確認して今後のクライアント会議を最新ニュースで要約」などの複合的な指示に対応
- 実用例: 「日本の朝食を4人分作るための材料を計画・購入」「3社の競合分析を行いスライド資料作成」
- 利用制限: Pro(400メッセージ/月)、Plus・Team(40メッセージ/月)
軽量版リリース(2025年4月)
o4-miniベースの軽量版Deep Researchがリリースされ、利用制限が大幅に緩和されました:
- Plus・Team・Enterprise: 25クエリ/月(15軽量版 + 10完全版)
- Pro: 250クエリ/月(125軽量版 + 125完全版)
- Free: 5クエリ/月(軽量版のみ)
プラットフォーム拡充
モバイル・デスクトップアプリ全てでDeep Research機能が利用可能となり、iOS、Android、macOS、Windowsの全プラットフォームで同一の体験が実現されています。
購読コンテンツ/企業内データ連携
有料ニュースや企業内システムへのアクセスを可能にし、さらに大規模な調査も自動化できるようになる見込みです。
AGIへの重要なステップ
OpenAIは、長時間の自律的思考と外部リソースの取り込みこそがAGI実現に不可欠と考えており、Deep Researchを「AGIに近づくための一里塚」と位置付けています。ChatGPT Agentの登場により、この目標により一層近づいたと評価されています。
Deep Researchの安全性における課題と対応策
OpenAIはDeep Researchのリリースにあたり安全性を優先し、以下の点に注力しています。
- 誤情報(ハルシネーション)の低減
長時間の検証ステップや外部エビデンス表示を組み合わせ、回答の正確性向上を図る。 - 出典開示とエビデンス提示
参照したサイト・論文・データを可視化し、ユーザーが検証できる仕組みを整備。 - 学習データの再生(漏洩)防止
プライバシーや機密情報が意図せず再現されないよう、多重の安全策を講じる。 - バイアス・偏見の抑制
大規模言語モデル特有の偏見を軽減するため、継続的にフィードバックと調整を行う。
今後の課題
- 大規模リソースを必要とするため、現段階では利用回数が制限されがち
- 医療・学術など慎重を要する分野の回答精度や責任範囲の明確化
- 企業や研究機関での機密データを扱う際の安全管理
Deep Researchを実際に使ってみた
ここではDeep Researchを使って実際に行った2つのリサーチ例を紹介します。いずれもProプランでクエリを消費しながらテストを実施しました。
競合分析・業界リサーチ
感想としては、人間が1日かけて整理するような内容が一気に出てきて圧巻でした。特に企業情報について具体的な数値に基づいて表形式で出力されたのはとても便利です。
短時間で根拠が揃った説得力のある資料を得ることができました。
人物調査・Xのアカウントリサーチ
感想としては、Xのリンクを渡しただけで他のWebサイトも合わせて全て調査しており、Xのフォロー・フォロワーまで完璧なリサーチを遂行しているため、網羅性高く情報を取得してくれることがわかりました。
まとめ
Deep Researchは、ChatGPTのエージェント機能として「ウェブ検索」「ファイル解析」「データ分析」を組み合わせ、従来なら数十分〜数時間かかる大規模リサーチを一度のリクエストで自動化する革新的な仕組みです。2025年2月のPro向け先行リリースから始まり、現在では無料プラン含む全てのChatGPTプランで利用可能となっています。
2025年7月にリリースされたChatGPT Agentにより、Deep ResearchとOperatorが統合され、研究から実行までを一貫して行える真のエージェント体験が実現されました。視覚ブラウザアクセスや複合タスク対応など、従来の枠を超えた機能により「手動でリンクを渡り歩く従来型のブラウジングに代わる新しいインターネットのUI」として確立されています。
現在の利用状況:
- Free: 5クエリ/月(軽量版)から体験可能
- Plus/Team: 25クエリ/月で本格活用
- Pro: 250クエリ/月 + ChatGPT Agent(400メッセージ/月)
- 全プラットフォーム対応: Web、iOS、Android、macOS、Windows
AGIに近い「自律的な思考と情報収集」を誰でも体験できるようになった今、企業や研究機関での活用が急速に広がることが予想されます。複雑な情報収集に悩んでいる方は、ぜひDeep Researchで"自分専用の調査員"を体感してみてはいかがでしょうか。