Claude MCPとは?注目される理由やできること・活用事例を徹底解説
Anthropic社の提供する生成AI「Claude」には、外部サービスとスムーズに連携できる機能があるのをご存じでしょうか?
外部連携ツールのClaude MCPを使えば、Claudeのを複数ツールと繋げて自社の業務を大幅に代替することが可能となり、大きなインパクトが見込まれます。
本記事では、Claude MCPの特徴や使い方、活用事例についてわかりやすく紹介します。Claudeをビジネスに活用したい方は、ぜひ最後までご覧ください。
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AI導入.comを提供する株式会社FirstShift 代表取締役。トロント大学コンピューターサイエンス学科卒業。株式会社ANIFTYを創業後、世界初のブロックチェーンサービスを開発し、東証プライム上場企業に売却。その後、マッキンゼー・アンド・カンパニーにコンサルタントとして入社。マッキンゼー日本オフィス初の生成AIプロジェクトに従事後、株式会社FirstShiftを創業。
ClaudeMCPとは?
ClaudeMCPは、Anthropic社の生成AI「Claude」と、他アプリやツールの接続を行うためのプロトコルであるModel Context Protocol (MCP)を組み合わせたシステムです。
PCに例えて端的に言い換えると、「生成AIのClaudeと他のアプリ・ツールを繋ぐためのアダプター」の役割を果たします。(イメージは下図参照)
これまでは接続が難しかったアプリも、MCPの登場によってClaudeと容易に接続することが可能になっています。
MCPが注目される理由
MCPが注目されている理由は、ユーザーがアプリやツールを開かずに生成AIとのチャットだけでWeb上のアクションを完結できる可能性があるからです。
例として旅行先を探したいユーザーの場合を考えます。
従来の生成AI活用では、旅行先を調べるところの幅出しまでをお願いし、以降の予約やカレンダーへの追記は人の手で行う必要がありました。
一方で、MCPを介してClaudeと各アプリが繋がれば、自然言語でClaudeに指示を出すだけで勝手に他のツールを動かしてくれるので、1Stepで予約の完了まで可能となります。
ClaudeMCPでできることの例・活用事例
先ほどは旅行先の例を挙げていますが、Claude MCPを使えば多種多様なツールとの連携が可能になるため、ビジネス領域を中心に他にもさまざまなことができるようになります。
以下にその例を、実際の例とともにご紹介します。
1. 企業内部データの探索・分析・活用
MCPは認証・権限管理を組み込めるため、機密性の高い社内データベースやドキュメントリポジトリと安全に接続できます。
外部にデータを公開せずに、必要な情報だけをAIに取り込ませることで、ガバナンスを維持しつつAI活用が可能です。
【事例:Block社】社内データを元にレポートを自動生成
金融サービス企業BlockはMCPを通じて社内データリポジトリに接続。AIに自然言語で指示を出すことで、最新の売上・在庫情報を参照しながらレポートを自動生成する仕組みを構築し、社内DXを加速させています。
2. 社内コードベースの探索・開発
MCPを用いて社内のコードベースにアクセスすれば、自然言語でコード分析の指示や修正指示を出すことができます。
【事例:Sourcegraph Cody社】コードをAIが自動で分析・改善提案
Sourcegraph Cody社はMCPを利用し、データベースやGitHub、ローカルファイルといった開発コードベースをClaudeと統合接続し、コーディングを最適化しています。
例えばエディタ内で「この関数はどこで使われている?」と尋ねるだけで、関連コードやドキュメントを瞬時に提示し、最適なコード補完を提案してくれます。
3. Google DriveやSlackでのファイル共有・情報取得・修正
Google DriveやSlackと接続すれば、社内ファイルの移動や書き換えなどを自然言語で依頼することができるようになります。
【事例:Felores氏】Google Driveへの自然言語での仕事指示
Felores氏が公開しているGoogle Drive MCPサーバーでは、Google Drive APIをラップして各操作をJSON-RPCで定義しており、「ファイル名で検索」「指定フォルダ内の一覧取得」「ファイル内容の読み込み」「ファイルのアップロード・更新」といった操作をチャットで指示することができます。
例えば「Google Driveのファイルを元に最新のプロジェクト提案書を開いて」「このスプレッドシートに月次データを追加して」といった指示が可能です。
4. 外部データ抽出・格納の自動化
外部データと接続するMCPを使用すれば、現在人の手で行っている情報を複数ソースから検索して、整理して、自社内フォルダに格納する、というような一連の動きを自動化することができます。
【事例:Apify社】:Webデータの自動抽出・レポート格納
ApifyはMCPサーバーを開発し、AIエージェントがApify Actorsを呼び出してウェブデータの抽出や検索を自動化。AIが指示に応じて必要なデータを収集し、分析・レポート作成を支援しています。
MCPでClaudeが連携できる主なツール
現時点で接続可能なツールの代表例を下記にご紹介します。連携可能ツールは今後も順次拡大される予定です。
- GitHub: リポジトリ管理、ファイル操作、GitHub API 統合
- Slack: チャンネル管理とメッセージング機能
- Notion: Notion内ページの読み書きやデータベース操作
- Google Drive: Googleドライブのファイルアクセスと検索機能
- Google Maps: 位置情報サービス、ルート案内、場所の詳細
- Gmail: Eメール内容の確認、特定条件のメール抽出、返信の生成
- Filesystem: ファイルシステムの操作
- PostgreSQL: スキーマによる読み取り専用データベースアクセス
- SQLite: SQLiteのデータベースアクセス
- Memory: ナレッジグラフベースの永続メモリシステム
- Puppeteer: ブラウザ自動化とWebスクレイピング
- Brave Search: Braveの検索APIを使用したWebおよびローカル検索
- Fetch: LLMを効率的に使用するためのWebコンテンツの取得と変換
【業界別】Claude MCPの活用可能性
ClaudeMCPの革新的な技術は汎用性が高く、複数のツール連携を組み合わせることでさまざまな業界の業務を自動化することができるのではないか、と期待されています。
ここでは、各分野での活用可能性と、想定される導入効果を8つ例示します。
業界共通・一般業務での活用
データ整理・文書生成
日常的なデータ入力やファイル整理、定型レポートの自動生成により、従来の手作業に比べ大幅な時間短縮とミス削減が実現。たとえば、領収書のOCR読み取りから経費精算システムへの自動入力、最新ニュースを自動収集しExcel/CSVに変換する処理など、幅広いルーチンタスクの効率化が進んでいます。
カスタマーサポートの強化
自然言語による問い合わせ対応で、24時間365日体制の初期対応が可能に。FAQの自動応答や問い合わせ内容の分類、さらには関連情報の即時検索と共有により、オペレーターの負担軽減と顧客満足度の向上が図られています。
金融業界での活用事例
リスク分析・不正検知
膨大な財務データや市場情報を瞬時に分析し、従来は時間を要していた与信審査や不正取引の検知プロセスが、AIによる自動化で劇的に短縮。実際の導入事例では、審査時間が従来の30分からわずか1~2分にまで圧縮され、リスク管理の精度とスピードが大幅に向上しています。
顧客対応とパーソナライズドサービス
個々の取引履歴や口座情報に基づいた適切なアドバイスの提供や、問い合わせ内容に応じた情報提示など、セキュアな環境下でのパーソナライズド金融サービスの実現が期待されています。
製造業での活用事例
品質管理の自動化
製造ラインのセンサーやカメラからのリアルタイムデータをClaudeが解析し、外観検査や工程上の異常を即座に検知。不良品の早期発見と工程改善により、歩留まり向上と出荷ミスの防止が実現されています。
設備の予知保全
振動、温度、電流などのデータを元に、異常の兆候を事前に検知。機器の摩耗や故障リスクを早期に把握することで、計画外のダウンタイム削減と保全作業の最適化が進んでいます。
医療・ヘルスケア分野での活用例
診断支援と臨床判断
膨大な医療文献や症例データを瞬時に参照することで、類似症例の提示や最新研究の要約が可能に。これにより、医師の診断プロセスを補助し、重篤な疾患の早期発見に寄与する取り組みが進んでいます。
医療記録の管理と自動要約
音声認識で診察内容をテキスト化し、要点を自動で抽出・整形。カルテ記載や過去の記録分析を効率化し、医療現場の業務負荷を軽減する効果が期待されています。
小売・ECでの活用事例
パーソナライズドマーケティングと需要予測
顧客データや購買履歴を分析し、個別最適な商品提案やプロモーション文面の自動生成を実現。これにより、顧客エンゲージメントの向上と在庫管理の最適化が進み、業務効率と売上拡大に直結しています。
教育業界での活用事例
教材作成と個別学習サポート
授業計画やスライド資料、試験問題の自動生成など、教師の準備作業を大幅に削減。対話型チューターとしての機能により、学生一人ひとりの学習進捗に合わせた適応学習が実現し、教育現場における個別指導の充実が図られています。
Claude MCP導入にあたっての注意点
Claude MCPは革新的なツールですが、活用にはいくつかの注意点を押さえる必要があります。 ここでは大きく2つの注意点を解説します。
専門家を活用した運用体制の構築
スムーズな運用開始を目指すには、専門家の支援を活用することが重要です。
導入初期の環境構築や各種設定には一定の技術ハードルがありますが、パイロット導入やユーザー教育や運用マニュアルの整備が、導入成功の鍵となっています。
セキュリティ・プライバシー対策と継続的改善
ユーザー許可制や暗号化通信など、堅牢なセキュリティ設計が施されている一方、各業界特有のコンプライアンス要件に応じた運用ルールの策定が必要です。これにより、安全かつ信頼性の高い業務自動化が実現され、将来的なエコシステムの拡大にも寄与すると考えられます。
Claude MCP利用のための環境構築の手順
ここでは実際にClaude MCPを用いて各アプリ・ツールの連携を実装したいと言う方向けに、下準備である環境構築の行い方を解説します。
手順1:必要なパーツのダウンロード・インストール
Claude Desktopのダウンロード
まずは以下のURLから、Claudeのデスクトップ版アプリをダウンロードします。
Pythonのインストール
- ターミナルを開きます。
- ターミナルで 'python3 --version' を実行し、Pythonのバージョンを確認します。3.10以上がインストールされている場合は、このステップはスキップできます。
- もし古いバージョン、あるいはPythonがインストールされていない場合は、Python公式サイトを開きます。
- 「Downloads」メニューから、Mac用の最新のPython のインストーラーをダウンロードします。
- ダウンロードしたインストーラーをダブルクリックして実行し、画面の指示に従ってインストールを進めます。
uvのインストール
uvは、Rust製の高速なPythonパッケージ管理ツールです。MCPサーバーを動作させる際に必要なパッケージの管理やインストールを、uvを用いることでスムーズに行えます。
ターミナルを開いて以下を実行してください
brew install uv
手順2:MCPファイルシステムサーバーのインストール
必要パーツのダウンロードを終えたら、MCPファイルシステムサーバーをインストールします。
MCPファイルシステムサーバーは、Claudeとローカルのファイルやツールを安全かつ効率的にやり取りするための中継役を果たします。
具体的には、下記のコードをターミナルで実行します。
npm install -g @modelcontextprotocol/server-filesystem
手順3:初期設定
Claudeデスクトップアプリを開きます。画面左上の設定を開き,Developer>Edit configの順に進め, claude_desktop_config.json をテキストエディタで開きます
claude_desktop_config.jsonを開いたら下のコードを追加し,claudeにアクセスを許可するディレクトリに変更します。
{
"mcpServers": {
"filesystem": {
"command": "npx",
"args": [
"-y",
"@modelcontextprotocol/server-filesystem",
"/Users/username/Desktop",
"/path/to/other/allowed/dir"
]
}
}
}
終了後はclaudeのデスクトップアプリを再起動します。正しく設定されている場合はトンカチマークが出ます.
実際にデスクトップにファイルを作成できています。
環境構築後のClaude MCPの使い方
環境構築が完了したら、次は外部サービス等との接続を行います。
ここではMCP経由で外部サービスと連携する具体的な方法を紹介します。
手順1. 外部ツール定義ファイル「tools.json」の用意
まず、Claudeにどんな外部ツールを使わせるかを定義するために、tools.json
という設定ファイルを用意します。これは、Claudeにとっての「使える道具リスト」です。たとえば、Slack、Notion、Google CalendarなどのAPIと接続するためのエンドポイントや、ローカルスクリプトを指定できます。
例:tools.json の一部
{
"name": "post_to_slack",
"description": "Slackにメッセージを送信するツール",
"parameters": {
"type": "object",
"properties": {
"message": { "type": "string" }
},
"required": ["message"]
}
}
手順2. ツールのエンドポイントを実装する
Claudeは、tools.jsonで定義されたツールを呼び出すと、MCPファイルシステムサーバー経由であなたの用意した関数やAPIエンドポイントに対してリクエストを送ります。たとえば、FlaskやFastAPIを使ってローカルにAPIを立てておけば、Claudeから直接操作が可能になります。
例:Slack送信の処理を受け取るエンドポイント
from flask import Flask, request
import requests
app = Flask(__name__)
@app.route('/post_to_slack', methods=['POST'])
def post_to_slack():
data = request.json
message = data.get('message')
# Slack Webhookに送信
requests.post("https://hooks.slack.com/services/xxx", json={"text": message})
return {"status": "ok"}
if __name__ == '__main__':
app.run(port=5000)
このように設定すると、Claudeに「Slackに“ミーティングは15時から”と投稿して」と話しかけるだけで、実際にSlackへメッセージが送信されます。
手順3. Claudeとの対話でツールを呼び出す
準備が整えば、Claudeとのチャット内でツールを自然に呼び出すことができます。たとえば以下のような会話が可能です:
ユーザー:「この要約をSlackに送って」
Claude:「了解しました。以下の内容をSlackに送信します:〜」→ MCP経由でリクエスト送信
Claudeは、コンテキスト内で適切なツールを自動的に選び、引数を構成し、MCP経由でツールを呼び出してくれます。まとめClaude MCPを使うことで、AIが外部サービスとシームレスに連携し、自動で実行してくれる環境を作ることができます。
tools.json
でツールを定義し、API側のエンドポイントを整備するだけで、Slack通知、Googleカレンダー登録、Notionページ生成など多様なタスクを自動化できます。業務効率化やAIアシスタント開発において非常に強力な選択肢です。
まとめ:Claude MCPを活用し「AIとの会話で仕事が完結する」未来へ
Claude MCPは、AIアシスタントClaudeとMCPプロトコルの組み合わせにより、ローカルファイルや外部サービスへのアクセスを自然言語で可能にする強力なツールです。
ITスキルが高くなくても、日々の業務を自動化し、データ収集・整理・連携を効率化できます。また、多彩なツールとの統合性や将来的な拡張性の高さから、企業や研究機関において業務改善や生産性向上の基盤として期待されています。
皆さんもClaude MCPを活用して、日々の業務を効率化してみてはいかがでしょうか。
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